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目指すのはジャンガリアンな生き様

三菱ミニキャブトラック(U62T 1999年式) バケットシート

 

 

室内が狭過ぎて一旦は諦めたバケットシート。軽トラ用の専用シートレールを販売しているショップがあるので買おうかと思ったんだけど、どう考えても純正シートより座面が高くなり、膝回りが狭くなりそう。それが許容出来る範囲なのかが分からない。軽トラにバケットシート付けている人は居てネットでも画像がアップされているんだけど、どれもみな一様に窮屈そうだ。周りで軽トラにバケットシートを付けている人も居ないので実際に確認のしようがない。シートレールは2万円くらいするので、使える(実用に耐え得る)か分からない物にそれだけ金を出すのも微妙。それならちょっと頑張ってシートレールを作ってみて、実際に使えるのか検証してみようと思う。

 

 

純正シートを外してバケットシートを仮置きした状態。後ろの壁面に当たるまで後ろに置いても、この状態で座ると膝とステアリングコラムが近過ぎる。乗り降りがし難いし、運転もしにくそうだ。さらに座面がかなり上がる。視界的には運転出来なくはないけど、視点がフロントガラス上端付近になってしまう。

純正シートはペラペラで薄い上に、シート取付面が若干窪んでいる。なるべく座面を下げてヘッドクリアランスを稼いでいるみたいだ。貧相なシートに見えて、実は相当考えられている。

普通の車の場合は適当に設計しても純正シートより低くなるしシート後方も余裕が出来るけど、軽トラの場合は適当に設計して付けても使えたもんじゃない。そもそも膝回りが窮屈なんだからシートレールが要らない。目一杯後ろに下げた状態で固定してしまえば良い。シートレールを省く事でシート座面を下げ、更にバケットシートを若干前傾させる事でシート位置をなるべく後ろに下げて膝回りのクリアランスを確保する。

 

 

シートは裏面から固定されている。パッチン金具を2ヵ所外すと座席(エンジンハッチ)が持ち上がる。

 

座席裏面のカバー(断熱?防音?)を外す。4ヵ所帯状の薄鉄板で折り曲げて固定されているだけ。ネジすら使うのがもったいないらしい。ただの薄鉄板なので、カバーの脱着の際に何度も曲げたり伸ばしたりすると折れてしまいそうだ。カバーを外すとシートを固定しているナットが現れる。

 

シートベルトホルダの配線コネクタを外し、シートを外す。ここまでは簡単に外せる。埃がめっちゃ溜まっていたのでついでに掃除する。

 

純正シートの取付穴寸法を測る。M10が4ヵ所。微妙にずれている。

 

バケットシートの取付け金具寸法を重ねる。これを元にシートのベース金具を作る。

 

シートを前傾気味にする為に、かさ上げする金具を作る。シート後部は70mm、シート前部は20mm上げる。シート前部はなるべく下げたかったんだけど、取付面と干渉するので上げざるを得ない。

 

ベース金具とシート取付金具を取り付ける。通常はバケットシートを載せた状態で取付位置を微調整するんだけど、軽トラの場合は裏側から固定するのでシートを載せた状態ではベースが固定出来ない。ベース金具を固定してからバケットシートを固定するので、この状態でかなり正確に位置決めしておかないとバケットシートが付けられない。

 

しかもなるべくコンパクトにする為、シート取付金具(L字型の長穴の金具)を通常と逆向きに付けている。位置調整が非常にやり難い。ただ軽トラは非常に狭くてシートをスライドさせる事がないので、一度位置を決めてしまえば触らない。

バケットシートを若干前に前傾させる事でシートバックを起こし、なるべく後ろに寄せる事で膝回りのクリアランスを確保する。その為シート後側の取付け金具は延長して70mm上げている。実際にはベース金具もかさ上げする必要があって更に25mm上げている。一応仮置きして設計したものの、こんなに上げてちゃんと使えるのか自信が無くなる。

 

バケットシートのかさ上げ金具が出っ張ってしまうので、エンジンハッチ(シート取付面)が一番上まで開かない。

 

運転席の下にはエンジンが有る。オイルレベルゲージやリザーブタンク、ヒューズボックス等が有るので、メンテや修理の際はエンジンハッチを開ける必要が有る。その都度バケットシートを外さないといけない。しかもハッチが開き切らない為、ハッチ固定用の引っ掛け紐を引っ掛ける事が出来ない。手を離すと閉まってしまうので何か対策を考える。

 

 

それでも何とか形になった。散々苦労したけど、見た感じでは一応実用的なレベルには収まっている気がする。

 

何とかいけそうな感じがするので、シートベルトホルダを移植する。シートベルトホルダを固定する穴はフロアではなく純正シートに有るので、付ける所が無くなってしまう。金具を追加して固定する。

 

なるべく低く抑えたけど、それでも純正シートより座面が高くなる。バケットシート座面のクッションを外せば、クッション分は低く出来る。

 

クッションを外すとバケットシートの筐体に直に座る様なもの。ただでさえ乗り心地が最悪な軽トラでバケットに直座りで耐えられるんだろうか。

 

軽トラにバケットシートなんか無理だ、と思ったけどとりあえずは収まった。通常バケットシートはお尻の部分が低くなっていて(尻下がり形状)、シートバックも若干後ろに倒れ気味になっている。それを軽トラの室内に収める為に座面はほぼフラット(水平)、シートバックはほぼ垂直にしている。純正のヘッドレストも邪魔になるので外している。

 

作業が終わってやれやれ、と思ったらハッチ裏面のカバーの取付けを忘れていた。今更バケットシートを外して取り付ける気にもならないので、とりあえずこのまま乗る。どうせすぐに車検を受けなければならないし、その時はシートを戻さないといけない。そもそもバケットシートのまま乗り続けるかどうかも分からない。

 

 

 

フルバケはサイドシルが高いのでホールド性が極めて高い代わりに昇降性が極めて悪い。とても乗り込みにくいし、とても降りにくい。ただ軽トラの場合はステップが有るのと、先日付けたアシストグリップのお陰で困難というレベルじゃない。純正シートはとても乗り降りしやすかったので、それに比べるとかなり悪化する。

純正シートはペラペラで取って付けた様な物だけど、それでも細部を見ると良く考えられている。ヘッドクリアランスを確保する(室内を広くする)にはシートを低くしたい、でもシート下にはエンジンが有るから大きく下げられない。なのでシート取付面(エンジンハッチ)をへこませて少しでも座面が低くなるようにしている。その上スライドレールまで設けているのでシート座面が前後する。ホールド性が高くなる事以外に、バケットシートが純正シートに勝る所が無い。

あと、この年式のミニキャブトラックの利点はサイドブレーキが助手席との間に無い事。サイドブレーキが運転席右側に有るので、運転席と助手席の間に大きな突起物が無い。なので1人の時は助手席に足を投げ出す事が出来る。この室内ではごろりと寝転がるのは無理だけど、横を向けば足を伸ばして座る事は出来る。これがバケットシートになるとサイドシルが邪魔になって足を伸ばす事が出来ない。

これだけ頑張って座面を下げても、純正シートよりも若干高くなる。そして視点の高さとルームミラーの位置が同じになる。すると、左の路地から出てくる車や自転車などに気付き難い場合があるし、左カーブの際に行く先の視界が遮られる場合が有る。今まで付けていた社外品のワイドミラーを外して純正ミラーだけにすると小振りになるので若干改善される。ただこの純正ミラーは出来が悪くて、夜間後続車のヘッドライトがめちゃくちゃ眩しい。ローでも「こいつハイビームなのか?」と思うくらい極端に眩しい。だから眩しさが若干改善される社外品ミラーを付けていたんだけど、それだと視界が遮られる。ミラーはルーフにねじ止めなので、何らかの改善をするかもしれない。

 

ミニキャブトラックの場合、純正シートでのメリットが多過ぎて、またバケットシートでのデメリットが大き過ぎて、果たしてバケットシートにする意義が有るのかどうか非常に微妙だ。しばらく乗って検証してみる。もしかしたら車検を機に純正シートに戻すかもしれない。

 

 

追記

クッションレスで筐体に直座りではさすがにお尻が痛くなる。かといって標準のクッションだと厚過ぎるしそこまでは要らない。家に転がっていた謎の硬いスポンジクッションを敷いている。一日520kmくらい走ったけど何とか大丈夫。

乗り降りのし難さは慣れる。毎回どっこいしょと座ったり降りたししなきゃならないけど、それでシートを戻したくなる程でもない。座ってクラッチを踏まなくてもエンジンが掛けられるのも都合が良かった。

フルバケにする事で乗り心地は逆に良くなった。正確に言うと乗り心地が良いというのとはちょっと意味合いが違う。純正シートの場合、路面の突き上げの度に身体が上下前後左右に振られる。フルバケはホールドされているから、揺さぶられる方向が制限される分多少マシになる。コーナーリングも当然サポートされているから身体が振られる事も無い。何の制限も無い純正シートに比べてかなり身体が固定されるので、車の挙動も分かりやすいし運転操作に集中出来る。

今の所腰が痛くなったり首が痛くなったりする事も無い。フルバケシートは慣れれば結構大きなメリットになりそう。

その一方で、フルバケのサポートの恩恵が100%受けられない。フルバケは正常な取付状態で能力を発揮する様に設計されている。深く腰掛けて背中をバックシートに預けた状態だとしっかりサポートされるけど、軽トラの室内に収める為に座面を水平にしてバックシートを起こしている為身体をシートにしっかり預ける事が出来ずサポートが甘くなる。それでも純正シートとは桁違いのサポートなので当面使う予定。

 

 

余談

フルバケに替えてから車間距離を空ける様になった。僕は後続車両に詰められるのが嫌なので今までも車間距離は多めに取る様にしているけど、今まで以上に気を付けている。それは痛いと思えるからだ。

スポーツカーで混雑した道路を乱暴に走るドライバーを見ると痛いなぁと思う。イジった軽自動車で乱暴に走るのを見ても痛いと思う。誰も居ない深夜の峠やバイパスならまだしも、混雑した道路で乱暴に走っても信号で止まるから意味が無くて周りを不愉快にさせるだけだからだ。

軽トラにフルバケを付けた所で速くなる訳じゃない。ただ楽しくはある。そういう楽しさに水を差すような事はしたくない。また、軽トラに対してもちゃんと車間距離を空けてくれるドライバーには心の中で感謝している。

 

 

 

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