シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

 ソロ






先日立山を歩いている際に暴風雨に見舞われて遭難しかけ、その後「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」を読み、むむむ?って思った。何がむむむ?なのかというと、登山するのによくもまぁ見知らぬ他人とパーティ組めるよなって。


立山から下ってきて、僕はつくづく「ソロ(単独)で良かった」って思った。というのは、僕の周りで山登りをする人で僕よりも体力が有る人は居ない。だからもし僕が限界ギリギリの状況なら仲間は既に限界を超えてしまっているはずで、自分が限界ギリギリの状況で仲間をフォローしていたら共倒れになってしまう。「天気悪そうだから登らない」っていう判断が出来るのは自分の限界が見えたあの経験が有るからで、例え仲間が居ても「この程度なら登れるだろう」って進んでしまっていたはず。例えばもし仲間が僕よりももっとずっと経験豊富な人だとして「今回は風が強そうだから登るのはやめよう」って言ったとしても、今までに猛烈な暴風雨を経験したことが無かった僕は「ちぇっ。この程度なら登れるのに。」って思って反発していただろう。結果的に独りで良かった。


そもそも暴風雨とか遭難とか以前に、山登りを始めてすぐに僕はこれは大変な事だと思った。「一緒に山登りする仲間が欲しいな」って簡単に言える人は、きっと本気で歩く様な登山はしていないと思う。何も3千m級の山の事を言ってるんじゃない。標高千mそこそこの山でも充分厳しい。穏やかに晴れた日に何のトラブルも無く歩いていたって登山はキツい。精神的にも身体的にもキツい。そういう状況で仲間をフォロー出来るだろうか。更に、もし急激に悪天候になったら? 仲間が怪我をしたら? 体調が悪くなったら? 滑落したら? 道に迷ったら? そういう悪条件が重なった時に冷静に仲間をフォローする対応が出来るだろうか。


僕は誰かに引っ張られるのも、引っ張るのも嫌だ。精神的にいっぱいいっぱいの状況で、その上そうやって気を遣うのはごめんだ。特に僕は自分を引いて相手に合わせてしまいがちだから、四六時中遠慮して気疲れしてしまいそう。だから登山の技術レベルとか体力レベルとかじゃなく、本当に信頼できる人とか、何でも言い合える人じゃなければ一緒に歩きたいとは思わない。それは何となくバイクのタンデム(二人乗り)に近い心情。タンデムシート(後部座席)に座ってしまったらもう自分ではどうする事も出来ない。だから余程信頼出来る人じゃなきゃ後ろに乗りたいとは思わない。信頼出来る人なら、この人の運転で転んだり事故ったりするんだったら仕方が無いか。っていう運命共同体みたいな心情。

特に不満も無く一緒に楽しめる仲間が居るっていうのは、それだけで幸せな事だと思う。