シングル スマイル

目指すのはジャンガリアンな生き様

HONDA XR600R 腰上OH(1)

 

 

 

先日ようやくエアークリーナーボックスのダクトを入手出来て、やれやれこれでやっと始動性が改善されると思いきや変わらなかった。気温が下がると始動性が悪くなるという症状は変わらない。

変わって、先日ベータ・テクノの圧縮抜けを修理した。フルスロットル状態が続いた事でピストンがカジってリングが埋没した為なんだけど、見るからに「こりゃダメだ」という状態でもないのに圧縮が全く掛からずスカスカだった。この程度で完全に圧縮が抜けるという事は、ほんの僅かな不具合でも圧縮が抜けるという事だ。

XR600Rはオートデコンプをキャンセルしたにも関わらず、キックが下りてしまう。単気筒600ccのキックがデコンプ無しで踏み下ろせるのはおかしいだろう。また、気温が低いと始動出来ない、一度始動すると掛かる、という症状から、これはピストンリング不良なのでは? 温度が低いと収縮して抜けが悪化し、一度始動すると温度が上がって安定するのでは。

という訳で、とても面倒臭いし金も掛かるんだけど何となく原因が掴めた気がするので重い腰を上げる。

 

 

 

シート、タンク、キャブ、エキパイを外す。ここまではあっと言う間に外せる。

 

エンジンハンガーを外し、ヘッドカバーを外す。ヘッドのオイルが漏れてきた。

 

フレームの下にあるボルト2本はそのままでは抜けない。カバーを浮かせると外せる。という事は、組み立てる時も後からでは入らないという事だ。

 

ヘッドカバー外した。RFVCのバルブとカムシャフトが出てくる。

 

カムチェーンテンショナーを緩めながらカムチェーンを外し、カムシャフトを外す。

 

シリンダーヘッド外れた。

 

燃焼室。

 

シリンダーを外したいが、ベースガスケットが固着していてシリンダーがビクともしない。下手に叩くと冷却フィンを割ってしまうので丁寧に、と思っていたら割ってしまった。30年前のバイクで、30年間分解されていないんだろう。どうしたものか、と途方にくれていたけど、シリンダーベース(排気量の刻印がある辺り)を木の棒を介してガンガン叩いていたら浮いて来た。

 

目的のピストン出てきた。

 

ピストンヘッドはカーボン付いているけど、それほど酷くもない。

 

シリンダー内面も傷や偏摩耗は無さそう。傷は無いが、ピストンリング(オイルリング)の跡がついている。前オーナーの放置期間の影響かも。傷や段付は無い。

 

新品のピストンリング。これが厄介で純正部品は欠品になっていて購入出来なかった。eBayで探すと売っている。インドで安いリングが売っていたけど信頼性が全く分からず流石にやめておいた。オーストラリアに日本製のリングが売っていたのでそれを購入。

 

大阪で作られたピストンリングを何故オーストラリアから買わなければならないのか。

 

古いリングに新品のリングを重ねてみる。若干張りが弱くなっている様で隙間が狭い。

 

ピストンリングの使用限界値は、シリンダーにリングを入れた状態で隙間が

トップリング 0.50mm以上

セカンドリング 0.65mm以上

となっている。摩耗するとその分隙間が広くなる。なのでこの数値以上になると摩耗限界となる。

 

トップリングを測る。0.55mmで緩く0.6mmは入らない。使用限界値オーバー。

 

センカンドリングを測る。0.65mmで緩く0.7mmは入らない。これも使用限界値オーバー。摩耗により隙間が広くなっているし、ヘタって張りも弱くなっている。予想通りピストンリングはダメっぽい。

ところでこのピストン、ちょっとマズくないか。

 

バルブが当たった跡がある。これはバルブリセス(バルブと干渉しない為の逃げ)じゃない。

 

ヘッドをひっくり返して燃焼室にパーツクリーナーを溜め、バルブからの漏れが無いか確認する。

 

右のエキゾースト側から滲んでくる。ピストンのバルブ跡と同じ位置だ。もしかしてバルブも悪いのか? バルブの動きはズムーズだけど、ステム(軸部分)ではなくバルブの傘部分が曲がっているかもしれない。目視では分からないけど目視で分かる程酷い曲がりならもうダダ漏れだろう。確認するには定盤やダイヤルゲージが必要なので、後日改めて確認する。

前回シリンダーヘッドをOHした際の画像を確認すると、その時から跡がついている様だ。前回はピストンは触らなかったので見落としていた。バルブがピストンと干渉するというのは、カムチェーンの異常か、バルブスプリングが追従できないほど高回転までブチ回すくらいしか思いつかないんだけど、僕はそんな使い方はしていない。もしかしたら入手時に既に当てていたんじゃないか。

いずれにせよこのまま組み戻す訳にはいかなくなった。使えるのか確認して、使えない様であればバルブの交換をしないといけない。エキゾーストバルブ高そうだなぁ、そもそも部品買えるんだろうか。

 

本腰入れて修理するなら車検通す前に直せば良かった。せっかく車検通しても当分乗れないじゃないか。まぁ始動性うんぬんの前にどうせ寒くて乗らないけど。

 

追記

そういえばバルブに関してもう1つ思い出した。手動デコンプだ。デコンプレバーを握るとシリンダー内圧を逃がす為に排気バルブが少し開く。デコンプが作用するのは右側の排気バルブなので、打痕の位置と合う。デコンプレバーを握ったままキックするとバルブとピストンが干渉するのかもしれない。もし走行中にバルブとピストンが当たればこの程度では済まないと思うので、デコンプのせいかもしれない。



今回の出費

ピストンリング XR600R STD97.00mm 11,557円

 

 

つづく

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今までの経緯、XR600R関連の記事はこちら

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